特別企画
実践報告① 子どもの慢性疼痛に対するリハビリテーション
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鳥沢 伸大 先生
日本大学医学部附属板橋病院 リハビリテーション科
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【講師紹介】
鳥沢先生は作業療法士として慢性疼痛患者、中でも難渋しやすい子どもの慢性疼痛患者の診療に従事されています。また、慢性疼痛関連の講習会の講師として広く活動されており、ご自身の経験された症例を含めた子どもの慢性疼痛患者に対するリハビリテーションについてご紹介されています。子どもの慢性疼痛は疼痛の訴えや心理・社会的な背景も複雑であり、多面的なアプローチにしばしば難渋します。鳥沢先生が経験された症例を通して、子どもの慢性疼痛に対するリハビリテーションについて学習できる貴重な機会です。
レクチャー② 認知症高齢者の痛みをどう捉えるか
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安藤 千晶 先生
東京都健康長寿医療センター研究所 認知症未来社会創造センター
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【講師紹介】
安藤先生は、認知症高齢者を対象に、主に慢性疼痛に対する評価やケアについて研究されています。特に、コミュニケーションが困難な認知症高齢者を対象とした痛みの評価指標である「痛み行動観察尺度:DOLOPLUS-2」の日本語版を開発し、臨床での活用について検証されています。認知症患者の痛みの捉え方や評価のポイント、そして効果的な疼痛マネジメントを知ることは職種を問わず、非常に重要です。
【文献紹介】
①Effectiveness of the Japanese DOLOPLUS-2: a pain assessment scale for patients with moderate-to-severe dementia
Ando C et al., Psychogeriatrics. 2016
本論文では、痛みを正確に言語化できない中等度から重度の認知症高齢者を対象に、痛み行動観察尺度である「DOLOPLUS-2」の日本語版を作成し、認知症高齢者の痛みを適切に捉えることができるか検証しています。「DOLOPLUS-2」を用いた行動観察評価は認知症高齢者の痛みを適切に捉えることができ、鎮痛剤による疼痛変化を反映させることが示されました。
②訪問看護師が実施している在宅認知症高齢者の疼痛マネジメント
安藤 千晶・他, Palliative Care Research. 2019
本論文では、在宅で生活する認知症高齢者に対する疼痛マネジメントの内容を明らかにすることを目的に、半構造化インタビューを実施し、質的帰納的に分析されています。結果として、生活全体を視野に入れた疼痛マネジメント力が必要であるとともに、多職種協働で情報共有し、総合的にアセスメントする視点が重要であることが示唆されました。さらに、日常生活の行動変化から疼痛評価を実施し、薬物療法や非薬物療法の内容について検討することも重要であることが示されています。
実践報告② 認知症を有する大腿骨近位部骨折患者に対するリハビリテーション
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後藤 響 先生
長崎記念病院 リハビリテーション部
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【講師紹介】
後藤先生は回復期リハビリテーション病棟専従の理学療法士として、大腿骨近位部骨折患者を対象としたリハビリテーションの効果について検討されています。大腿骨近位部骨折患者の多くが高齢者であることから、認知症を併存していることが多く、そのような患者の疼痛マネジメントを含むリハビリテーションにはみなさんも難渋した経験があるかと思います。後藤先生からは、認知症を有する大腿骨近位部骨折患者の痛みの現状や評価の方法、リハビリテーションのポイントについてご紹介いただきます。
【文献紹介】
①Factors Affecting Persistent Postoperative Pain in Patients with Hip Fractures
Goto K et al., Pain Res Manag. 2020
本論文では、大腿骨近位部骨折患者において回復期まで強い痛みが残存する要因を、急性期および亜急性期の2つの時期において多面的に検討しています。その結果、大腿骨近位部骨折術後の急性期および亜急性期で運動時痛が強く、破局的思考に陥っていると、回復期まで強い痛みが残存しやすいことが明らかとなりました。これらの結果は大腿骨近位部骨折術後の痛みの慢性化を予防する上で留意すべきポイントになりますので、ぜひご一読ください。